『三年目の作家、として』
(次にリズムについて考える。
文にはリズムを伴った文がある。例えば俳句や短歌などの、五七五、五七五七七、が有名であり、それ以外にも、五五五、など多数存在する。
このようなリズムは、文を引き立てると言うよりも、それ自体、独立した効果である。或る意味、文とは全く違うところにあるものである。
それ故、リズムは思考の躊躇を許容しない。リズムが長く続けば続くほど、半強制的に、文の内容は無へ押しやられて行く。逆に、躊躇した思考はリズムを許容しない。
だが同時に、リズムは同じ文を反復することを容易にする。それは大きな魅力である。
であるから、リズムの効果を伴う文では、なるべく思考の躊躇を起こさせないような簡潔な表現に留め、同時に反復の容易さの効果を利用することによってその深さを図るべきであろう。
最後に、視点の人称について考える。
書き進める上でどの視点から書くかは大きな問題である。一人称、つまり主人公の視点で書くものと、三人称、つまり登場しない人物や作者自身の視点で書くものとは大きく違うからである。
二つの長所の相違点を挙げると、一人称は主人公の思考や感受を直接描くことができ、三人称は主人公の客観的な行動を描くことができる。短所を挙げれば、一人称は先程述べたように、主人公の極まった感情を描くことができず、三人称では主人公の内面を描きにくい。
これら二つの長所と短所を見極め、意図に合致した方法で書き進めたい)
署を出ると、東の空に朝焼けが広がっていた。東のはずだった。連行した二人の警官が、駅まで送ると車を出した。スズメが鳴いていた。蝉も徐々に叫び始めていた。
運転席の警官の顔が清々しく光を受けていた。助手席の警官が、清々しい逆光の中で振り向いた。
「しばらくしたら通知が行くと思う。その時は署まで来てくれるね? 来てくれないと指名手配をすることになるから」
優しい脅迫だった。どうでもよかった。清々しい空気の中、俺は四回、うなずいた。ナナの髪も乾いていた。潮を含み、乱れていた。それも清々しかった。
「善いこと、悪いこと、考えてみても仕方ないんだからさ……」
もやに包まれた朝焼けは、警官に浅はかな言葉と真の笑みをもたらしたようだった。
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