『MICROMANCE』
はじめのうちは仲良く笑って話してたんだけど、そのうちお酒が入ったら、待ってたみたいに言いあいがはじまったの。
「見込みがあるとかないとか、そんなの問、題、外、でーす!俺はただ、好きなことをずっとやってたいだけなん、でーす!売れる売れないは二の次、でーす!」
「それじゃあ泰子はどうなるんだぁ!いいかぁ、女はなぁ、女の幸せはなぁ、どんな男と結婚するかにかかっているんだぁ!それを君は、大事な娘に君という奴わぁ!」
お父さんは泣きながらBAKAの胸ぐらをつかんだ。BAKAは完全に酔っぱらって目がすわってた。
「お父さん!BAKA!ふたりとも飲みすぎー!」
「おじさあん、女が結婚相手に左右されるような社会作ったの、あんたたちでしょーう?」
黙って見てたお母さんもそれを聞いたらガマンできなくなって、お父さんと一緒にあいつのそでをつかんだ。
「聡くん!あなたって人は、あなたって人は……うちのやっちゃんをどうしようって言うのぉ!」
「お母さんまでー!」
「愛、しまーす!」
お母さんはつかんでた手をはなして顔を押さえると、オイオイ泣きはじめた。お父さんは指で目頭を押さえながらしゃくりあげて、玄関を指さしてさけんだ。
「出て行けぇ!いますぐぅ!」
私は二人に「ごめんね」って謝って、あいつを連れて家を出た。
帰りの電車で私はずうーんと沈んでた。あいつはへらへら笑ってた。電車をおりて、バスにのって、いつまでもヘラヘラ笑ってるあいつを見てたら、頭にきた。
うちに帰るなり私に背中を向けてソファーに寝転んだあいつをけとばして「バーカ!」って言ってやった。でも、まだヘラヘラ笑ってる。
「なにがそんなにおかしいの!」って顔をのぞき込んだら、あいつは笑いながら涙をぼろぼろ流してた。
「ご、ごめんねー!そんなに痛かったのー?」
あいつは首をぶんぶん横に振った。ヒザを抱えて小さく寝転びながら泣いて笑うあいつを見てたら、私も悲しくなってきた。
「BAKA、だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ、私がきっと守ってあげるから」
あいつを赤ちゃんを抱くように、ぎゅっと抱きしめた。ALが背中で「みにゃー」ってないた。きっと「僕もついてるよー」って言ってた。
KIDOくんがタバコの煙をはきだして、大きく目を見開いた。
「そうだ!YASUKOさん、こんなのどうでしょう!」
「どんなの?」
「どういうの?」
KIDOくんは思いきり顔をニコッとさせた。
「小説を、書くんですよ」
「ショウ、セツ?」
「小、説?」
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