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MICROMANCE
 迷い猫の貼り紙。「探しています!」の文字。行儀よく座ってこっちを見てる子猫の白黒写真。
(特徴)現在二歳のオス猫。全身黒毛。目は緑色。尻尾は長くてまっ直ぐ。見かけた方は……
「ALに、似てない?」
「まさか。だってALはEIJIからもらったんだぞ?」
「EIJIだってALのことひろったのかもしれないでしょ?」
 あいつは口ごもった。
「そうかもしれないけど……じゃあこの猫がもしALだったら、返すのか?」
「それは……だって、ALは私たちの家族なんだよ?ALだって、きっと、私たちと一緒にいたいと思ってるはず!」
 あいつがうつむいた。
 ALが家にきたのは一年前。EIJIの家から子猫を連れて、帰りの道で私たちは名前を考えた。
「ALってのはどう?」
「なんなの、ALって?」
 カゴのなかで眠る子猫。
「AL・GREENだよ。こいつは黒猫で、目が緑だろ?それで、AL・GREENは黒人で、ファミリーネームがグリーン。な?ぴったりじゃん」
 家に着いて目を覚ますなり、見慣れない場所におどろいて子猫のALは毛を逆立てた。走り回って隠れたALを二人であちこち探し回った。
「いた!ここにいたよ、YASUKO!」
 やっと見つけたALの緑色の目には、手を差しのべてる私たちが小さく映ってた。
 それからしばらくはおびえてたALも、だんだん私たちにも私たちの家にも慣れてきて、いまでは毎日イタズラばっかりしてる。
 花は食べるわ、キッチンは荒らすわ、ティッシュは引っかき回すわ、もう大変。いまのパキラも四代目。
 あんまりひどいイタズラをしたときは、トイレに閉じ込めたり段ボールに閉じ込めたりしてしかるの。「AL、そこで少しは反省しなさい!」って。そうすると、なかから「にゃー」って声がする。「ごめんなさいー、ボクが悪かったよー」って。
 しばらくそのままにしてからのぞきこんで「もうあんなことしちゃダメだよー?」って言うと、ALは目を閉じてほんとに反省してる声を出すの。でも、出してあげるとすぐにおんなじイタズラをしてまた怒られる。ちっともこりない。
 でも、ほんとはALはめちゃめちゃやさしいやつなの。
 いつだったか、あいつがケンカして出て行った夜、部屋で一人泣く私の横にそっと座って「どうしたんだよー」って涙をなめてくれた。
「……私、ALがいない生活なんて考えられない」
「俺だって」
 でも、まえの飼い主も私たちみたいな気持ちでALのことを思ってたら……おんなじ気持ちで一年間ずっと探してたんだとしたら……なんて辛いんだろう。
 山手通りに出た。遠くでクラクションがなった。
「ねえ、EIJIに、ほんとのこと、聞いてみよ?」


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