『MICROMANCE』
「……」
あいつは答えなかった。
わかってる。ALはALだけのもの。私たちのものでもまえの飼い主のものでもない。でも、でも……
ALとずっとずっと一緒にいたいの。一緒に寝たり、一緒にご飯を食べたり、じゃれたり、ケンカしたり、そういうことをずっとしてたいの。BAKAやお父さんやお母さんやおばあちゃんや、KIDOくんやAKIさんやMANABUさんやMIKAちゃんやMONKEYや、私が大好きな人たちとおんなじように。
気がつくと私たちは速歩きしてた。早くALに会いたくて会いたくてしかたなくなってた。
あいつが先頭をきって次にKIDOくん、そして少し離れて私。中目黒駅前の人込みをすり抜けて、思いきって私は走りだした。二人を抜いて、いちばん先頭に。ガードの向こうから空が開けた。広い、夕闇。
二人は私に抜かれると、自分たちも負けずに走りだした。後ろから足音が迫ってきて、BAKAとKIDOくんの後ろ姿が私を追い抜いてった。茶色と水色のソールが夕闇に瞬く。
「ずるーい!」
私の声が響いた。KIDOくんは首をちょっとだけ私に向けると、足をゆるめてBAKAと私の中間くらいを走った。山手通りをうずめるヘッドライトの渋滞。空にはまっ青な闇が、じっと月の出を待ってた。
汚れて黒ずんだ白カベにまっ黒なドア。二階建ての古アパート。その二階が私たちの家。息をきらしながら私が階段をのぼっていくと、あいつとKIDOくんはドアのまえでタバコをふかしながら私を待ってた。
「早く、鍵」と、あいつが言った。
そうだ、私がカギを持ってたんだー!
二人を背にしてカギを差し込む。ドアの向こうからALの声がする。私は先を越されないように注意深くカギを回して、ドアを素早く開けてなかにもぐり込んだ。すぐにドアを閉めてカギをかけた。
「おーい!」
「ははは」
あいつはさけびながらノブをガチャガチャさせてる。振り返ると、ALが座って私を見あげてた。
「ALー!」
「にゃー」
ALをぎゅっと抱きしめてキスした。
「GUU!汚ねーよ!」
ドアをドンドンたたいてうるさいから、しかたなく開けてあげた。
「あぁー、ALくぅーん!会いたかったよぉーう!だっこさせてよぉーう!」
あいつは泣く振りをしながら両手をさしのべた。かわいそうだから抱かせてあげた。
あいつはALを高くあげたり抱きしめたりして、キスした。KIDOくんはその後ろで順番を待ってる。突然訪れたキスの嵐にALはキョロキョロびっくりしてる。
「BAKA、ほんとに、EIJIに、聞いてね……」
「……分かってる
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