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MICROMANCE
「ねえBAKA……私って、かわいい?」
「な?なんだよ急に」
 あいつは部屋に入ると、寝転ぶ私のそばにきて座った。私はタバコを灰皿においた。
「どーなの?」
「か、かわいいよ、もちろん」
「どこがー?」
「どこが、って……そのー……くるくるのでかい頭も好きだしー、そのー、目とか唇の形とか……」
 うえを見あげていっしょうけんめい話すあいつ。
「鼻は?耳は?手は?胸は?お尻は?」
「い、いいねー」
「好き?」
「好きって言うか……愛、し、て、る」
「きゃー」
 私はあいつに抱きついた。
「サルみたいなのにー?」
「俺、サル顔、好きだよ。GUUみたいな強面のサル顔が」
「きゃー」
 よかったー。お父さん、お母さん、サル顔に産んでくれてありがとう。
 ……でも、コワモテ?
「ところで腹へってんだけど……まだ?」
 ウデをあいつの首に交差させたまま、両手のツメを見てみた。もう大丈夫みたい。
 あいつの背中越しにストラトキャスターってギターが見える。窓際にはキーボードがおかれてる。キーボードの横のデスクには楽譜とか、わからない黒い機械とかがごちゃごちゃしてる。
「ねえ、いい曲できたー?」
「ん?ま、あ、ね」
 あいつの声が体に響く。
「じゃあ、そろそろワールドツアー?」
「ん?んー……ま、まあねえー」
「きゃー!」
 あいつをぎゅっと抱きしめた。
「んー……それより、GUUが早く作家デビューできたらいいねー」
 灰皿からタバコの煙がのびてる。私はまた寝転んでタバコを手にした。
「私は大、丈、夫。MICROMANCEでいきなり新人賞をとってー、それで……えーっと、ア、ク、タ、ガ、ワ、賞(?)、ついでにノーベル文学賞までとっちゃうの。『日本文学界に、驚異の天才アラワル!』って大騒ぎになって、うちのまえにマスコミの人がいーっぱいやってくるの。『ヒトコトお願いします、ヒトコト!』ってうるさいから、しかたなくキレイなドレスに着替えて外に出ると、なぜかお父さんとお母さんがいて『やっちゃんガンバレー』って手を振ってるの。私も手を振り返そうとするんだけど、ハッと気づいて手をひっ込めるの。あー、私はもう偉大なカリスマなんだから、イゲンを……」
「……さ、行こうか」
 私はタバコを吸った。
「なあにー、ウソじゃないよー?『知ってるつもり』から出演依頼がきたら、BAKAとALも一緒に出るんだよー?」
「はいはい」
「返事は一回」
「はーい」
 私はタバコを消した。
「よくできました。それじゃあ行きましょう」
「はーい」
 ALに見送られて玄関を出た。


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