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MICROMANCE
 MANABUさんは持ってきたラジカセを流した。
「やっぱり花見と言ったらこの曲でしょう」
 みんなは荷物をおいて座っていく。BAKA、私、KIDOくん、MANABUさん、MONKEY、AKIさん、MIKAちゃん。準備が終わったところで、あらためて乾杯した。
 あー、キレイだなあー。
 目のまえいっぱいに枝が低くたれさがって、桜の花に囲まれてるみたい。花びらのすきまで青空が瞬いてる。みんなの体の表面で木漏れ日のかけらがうごめいてる。
「BAKA、まだ怒ってるー?」
 あいつが桜を見ながらしみじみ言った。
「花見って、いいよなあ」
 よかった。笑ってる。
「YAっちゃーん」
 MIKAちゃんがタバコを吸いながらやってきた。
「あのねー、いまー、私とAKIさんが相談した結果ー、YAっちゃんが小説の印税もらったらー、私たちはー、出演料としてー、YAっちゃんにサンダル買って、もらえることになったの」
「なにそれー!」
 私が笑うと向こうでMANABUさんが首をのばした。
「え?なになに?YASUKOちゃん印税もらってんのー?」
「まだー。でもねー、もうすぐノーベル文学賞を授賞する予定なのー」
「ほんとに?」
 MONKEYの質問に、あいつはきっぱり「んなわけないよ」と答えた。
「でも、いいとこまでいってんでしょ?」
 あいつはまたきっぱり「まだ、できてもいないんだよ」と答えた。MONKEYは少し顔をひきつらせて「ああ、そうなんだ」って顔を戻した。
「どうしてBAKAが答えるのー?」
「だって、二人とも俺に聞いたんじゃん。そうだよねー、KIDOくーん」
 KIDOくんが振り向いた。あいつは手を振った。
「元気ー?ちゃんと飲んでるー?」
 KIDOくんは思いきり顔をニコッとさせた。
「飲んでます!」
「その割に静かだねえ、もっと飲んだらー?俺が取ってあげようかー?」
 あいつは立ちあがってクーラーボックスに手をかけた。そしてフタを開けた瞬間、動きがとまった。振り返ったあいつの顔が真剣だった。
「これ……本当にぜんぶおじさんの差し入れ?」
 KIDOくんは一気に飲もうとしてたビールをとめて答えた。
「え……ええ、そうですよ?たとえ余っても、足りないなんてことのないようにいっぱい買って行け、って言われたんで……」
「……本当に?」
「え、ええ」
「……なら、いいけどさ」
 あいつがKIDOくんにビールを手わたした。KIDOくんは、とめてたビールを飲み干した。向こうでAKIさんとMANABUさんとMONKEYがお弁当をつついておしゃべりしてる。


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