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完結した夏
 俺はタバコを蒸かした。煙は天井を流れるエアコンの風に乗り、忙しないベルトコンベアーのように流れ散った。
「……あのゴキブリめ!いくらでも金を吸い上げやがった!……俺が……おふくろが、どれだけの汗と血を流してあの金を作り出したか……それを……それをあのゴキブリ!あのゴキブリは、高沢家に、永遠に消えぬ、恥を塗りたくったんだ!」
 目をやると、文香が床から顔を上げ、目を潤ませて喜んでいた。俺はさらにタバコを蒸かした。
「蔑視!断絶!解雇!解雇!そしてその中をおふくろは死んだ……焼けたんだ……頭蓋骨が真っ赤に燃えて……粉々になって……」
「母を家に入れなかったのはあんただ、叔父さん」
「そうだ!その通りだ!だがお前を引き取った!引き取ったんだ!俺の子を……望まれてやまなかった俺の子を……中絶、させてまでだぁ!おぅぅぅああぁ……」
 文香が床を這い、俺の足首に手をかけた。
「だが俺は、一日に一食しか与えられなかった」
 文香の舌が、俺の脚を這い上がって来る。
「当然だ!そしてお前が今、大学に通えているのは、至上の幸福だ!そのために俺が何をしたと思う?汚職!病院の死体を転がしたこともあった……殴打!遺棄!他に何がある?金は作り出す意志のない者には入って来ない!」
 文香の舌が内股を這い上がり、達し、肛門をつついた。
「何を言っているのか全く分かりません、叔父さん」
「何!」
 文香のどろりとした舌が、肛門から陰嚢に向けて辿り、つつき、迂回し、そして吸いついた。
「分からないです、叔父さん、何が望みなのか」
 ブツッ!
 電話が切れた。文香が熱い舌で陰嚢を舐め回し、熱い口に頬ばり、転がした。股下で文香の頭がうごめく。再び電話が鳴った。
「俺だ」「考えがまとまったんですか、叔父さん」「……とにかく学校に行け。そして……」「不可能です」
「何だと!」
 文香は陰茎に手を添えて、丹念に舌を辿らせた。陰嚢から周囲へ、陰茎の根元へ、裏筋を辿り、斜めに迂回し、裏筋を……ああ、近づく!
「……夏休みなんだよ!」
「んなこと言ってんじゃねえだろうが!」
 亀頭を頬ばる!吸う!上下する!舌で、上唇で、熱く、ぐちゃぐちゃと、ゴシゴシと、しごく!しごく!しごく!俺は受話器を投げ捨てて、両手でその頭をわしつかむ!腰を振る!喉の奥まで腰を振る!吸う!腰を振る!吸う!吸う!吸う!
 あああ!
 振り子のように揺れる受話器から、モノラルラジオのような声がする。
「そしてお前が家を継ぐんだ!いいか!分かったな!ブツッ、プーッ、プーッ、プーッ……」
 腰の痙攣を受け止めて、文香の口から滴った。


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