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完結した夏
「ああ!」
 母が身を乗り出して、スリップの胸から乳房を露出し、俺の口に押しつけた。熟した乳房をわしつかみにし、俺の口に押し込み、回転させた。俺のあごを押し分け、母の乳首が喉に擦れた。硬く、弾力的に尖ったものが、俺の口内で暴れ回った。
 神様、神様、神様……頭でそう叫んだ。だが、神は現れなかった。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
 母が息を荒げ、さらに身を乗り出した。母のスリップが俺の顔面を撫でながら上っていく。さらさらと俺の顔を滑り、裾のレースに到達し、母の動きが停止した。そして裾を持ち上げ、母はその陰部で俺の顔に伸しかかった。
「やめてぇ!」
 茂みが、触れた……粘ついた、生温かい……ああ……
 ネバネバと異臭を放つ陰唇が、俺の顔を上下した。ヌルヌルと、俺の鼻は使われた。ズルズルと、俺の顔は使われた。
 母の喘ぎが頭上遠くで聞こえている。母の腰が激しく前後する。俺の顔が俺の顔ではない気がする。母は母ではなく、ただの肉塊に見える。
 母がゆっくり股を上げた。身体を向き合わせたまま、膝歩きで俺の身体を下りて行く。そして腰の辺りで止まると、自分の股下に腕を通した。……俺の陰茎をつかんだ。
 その状態のまま、母は俺の目をじっと見詰めた。哀れむような、求めるような、そんな目だった。俺はそれが何を意味しているのか分からなかった。ただ、もう顔を使われることがないのだけは分かっていた。母の目はまだ俺の目を見詰めていた。じっと、じっと、長い時間……
「ママ?」
 母の顔が、バターが溶けるように、ゆっくりと変化した。母が俺の陰茎をつかんだまま、ゆっくりと腰を沈めて行った。
「ママ?ママ?……ママ?ママ?ママ?」
 俺の陰茎は、母と、結合した。俺のガリガリの胸板の上で、母はうずくまるように頭を下げた。
「あ、ああ……」
「ママ、ママ?ママ、ママ?ママ、ママ?ママ、ママ?……」
 母の熱い舌が俺の口を深く塞いだ。そのまま、ゆっくりと腰を回した。俺はまだ問い続けていた。問い続けなければならなかった。母の腰を受け止め、母の舌を受け止め、母の喘ぎを受け止め、問い続けるしかなかった。
 他になかった。
 自分の身体が他人のように横たわり、行き果てる母は遠く霞み、むしろ自分は夜露に濡れる、茂みの中のコオロギだった。
 茂みの中のコオロギ……


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