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完結した夏
 20(現)

 開店前のスーパーの階段で朝を迎えた。空は非常に白かった。
 発見されたものを発見する時代が到来し、人は人生ではなく社会をこなしていた。早朝に犬は散歩され、死は生によってしか求められず、生は死によってしかこなせなかった。精神の最高態は死以外の何物でもなく、少なくとも三百部の新聞はジャージ姿で配達され、生は歴史的事実に名残りを残すだけだった。ありふれたもの以外に真実はなく、2tトラックが靄に霞む鳥の音をかん高く引き裂いていた。
 融資限度額とは何だ?
 財布には二枚の紙切れがあり、それは俺自身の維持費だった。ビルより頭上には、行使できない自由が果てしなく広がっていた。
「今をこなすことも不可能だ!」
 俺は飛び上がるほど勢いよく立ち上がった。なぜなら、アナロジーが細分化の限界を超え、ついに回帰したから。集積所に山積みされたゴミ袋が、カラスによってついばまれたから。
 俺はある思いを胸に抱いていた。それは『ある思い』以外の何物でもなく、自分に説明するまでもない『俺のある思い』だった。
 そして歩く!
 解決できない涙は、だからそれを拭うしかなかった。


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