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完結した夏
 誰が……一体「誰が!くそったれ!」文香の背中が折れ曲がるほどきつく抱き締めた。
 その時、電話が高く鳴り響いた。「誰だ!お前か!お前だ!殺してやる!ぶっ殺してやる!」電話が高く鳴り響いた。「首を引き千切り、ぐちゃぐちゃに踏み砕き」電話が高く鳴り響いた。「絶対に、今すぐ、ぶっ殺してやる!」電話が高く鳴り響いた。
 文香は腕の中で折れ曲がり、放心して天井を見上げていた。
 電話が高く鳴り響いた。俺は受話器を上げた。「うるっせえんだよ!」叩きつけて切った。するとまた鳴り響いた。俺は受話器を上げた。「うるせえって言ってんだろ!」「うるせえのはてめえだろうが!」
 受話器の向こうで、ドスの効いた男の声が叫んだ。「あぁ!?」ドスの効いた声が叫んだ。「違うかこら!?おお!?」ドスの効いた声が叫んだ。
 ……何だ?この感じは……
「てめえ、いつんなったら金返すんだ!?あぁ!?次はあんなんじゃ済まねえぞ!?あぁ!?こら!聞いてん……」受話器を置いた。するとまたかかってきた。受話器を上げて置いた。だが、またすぐにかかってきた。俺はプラグに手を伸ばし、抜いた。
 ……『次はあんなんじゃ済まねえぞ』?
 ……『次は』?
 ……『次』?
 文香を両腕で抱え上げると、頭と腕がダラリと垂れた。開け放たれた両目が壁に向かって白目を剥き、それでいて、乳房の揺れる様子は瑞々しかった。左腕には赤らんだ膝頭が二つあり、その先で、上下に振れる足先が愛おしかった。
 俺はベッドにゆっくり文香を下ろした。そしてシャツを脱ぎ、ズボンを下ろし、挿入した。文香は乾いていた。だが俺は濡れていた。人形のようにピクリとも動かない文香に入れて出し、出して入れ、乳房をわしづかみにした瞬間、時空を越えて、俺は強姦魔と一致した。
 全ては俺から派生したこと……文香の小振りな乳房が震えるように回転し、かすかに浮かび上がる肋骨の『ハ』の字がうごめいている。腹筋にあいた美しい縦ベソ。腰骨の間の三角地帯。艶やかな二本の腿のつけ根を割って、俺は情熱的に前後する。
 虚空を見詰める文香の瞳……そこにはきっと……気が狂いそうなほど鳴り響くチャイム……破れそうなほど蹴られるドア……鼓膜の奥に届く罵声……恐る恐るドアを開け……だが愚かにも全裸の文香……男の顔は獣に変化し……押し倒され……揉み合い……両足を開かれて……
 ……いやああぁやめてえぇぇぇ水面ぉ水面ぉぉ……
 俺は陰茎を引き抜き、文香をうつぶせに転がした。奇跡の感覚を禁じえない美しい背筋、そしてその下降曲線。瑞々しく盛り上がる尻をわしづかみ、左右に開き、肛門に辿り当て、挿入する。そしてその美しい背中に覆い被さる。
 ……もはやカラータイツが必要でないことは明白だろう……
 俺の目の前には振動する文香の後頭部がある。


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