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完結した夏
「色々考えたんだけど……」その瞬間、俺の頭のつむじの付近で、火花がパーンと弾けるように、極めて嫌な感覚が閃いた。「引っ越し、しようと思って……」感覚はそれを避けるかのように形状を曖昧にしたまま、ぐんぐんと俺の体内で膨脹し「今、どこがいいか、いろいろ考えてて……」ついに、はっきりと、その姿を網膜に現した。
 俺の心臓が高鳴った。「……つまり?」
「んん……二人には悪いけど……」心臓が激しく高鳴った。「私、一人になろうと思って……」だが、それが原因ではなかった。
「それがいい」俺は立ち上がり、走り出した。「ちょっと……なんなの!」
 渋滞の246を横断し、人混みの歩道を薬局で曲がり、閑散とした袋小路を駆け抜けた。アパートの折り返し階段を駆け上がり、息を切らし、震える指先で鍵を差し込み、回転させた。勢いよくノブを回し、ドアを開いて見た瞬間、俺の膝が脱力した。
 なぜ……なぜこんなことに気づかなかった!


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