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冷やされる少女
 10

 今日は客が二人来ている。一人はストッキングをたぐり上げる女、もう一人は座って足を組んでいるのが似合う女。だがその女は当然立っている。そして僕は当然その二人の間で這いつくばっている。アンナが真っ白なドレス(ワンピース?)姿で炭酸水を飲みながら部屋に現われると、座っているのが似合う女が吸っていたタバコの先で僕を指しながら、「なにやってんの、あれ、……あのみっともないやつ」と言った。
 アンナはグラスを口につけたまま答えた。「どれ?」
「これよ、」座る女は僕の顔間近にタバコの火を近づけた。「こ、れ!」
 アンナは口のグラスで僕を視界からさえぎるようにして辺りに目を這わせると、「どれ?なんのこと言ってるの?」となおも言い張った。
 ストッキングの女が言った。「いいかげん認めたらどう?もうこの人は立ち上がれない、って。この人だってかわいそうじゃない。こんなみっともない姿を見られるくらいなら、そのまま座っておけばよかったのよ」
「そんなことはない、僕は今とても興奮しているんだ」という声がうまく出せなかった。自分でも意味のない「あーうー」に聞こえる声を、二人は寒気がするほど冷たい目で見下ろしていた。だがアンナにだけは伝わったようだった。なぜならアンナは僕とは違う方を見つめながら「なんのこと言ってるのかさっぱりだわ」とあくまでしらを切ったからだ。


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