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MadarA
 ∞5∞

 何度も<付き合う>という意味がわからないので、そうする事ができないと言ったが、彼は聞き入れず、わたしはじゃあ、お付き合いするということでいいです、となってから、彼は、わたしの顔を足で踏みつけるようになった。スベスベしていて滑らかな足だったから初めから抵抗しなかった。
 その行為は、わたしの神経に特に何の影響もなかったし、わたしがとても気に入っている、スペインに行った時に仕立てたという白と薄いブルーの細い線でできている、それまで触れた記憶の無い触り心地のシャツを彼が着ている日は、わたしは気分が良くて、すすんで顔を踏んでほしい、と言うこともあった。好きか嫌いか、よくわからなかったが、そうされる事で何かが落ち着くような気がしていた。わたしを裸にした時、左乳首の横にある大きなアザを見つけ、これは何だ、と彼は聞いてきて、あの人に会ったからだと答えると、「どうして、またあの男と会うんだ」これまで見てきたどんな悲しい顔より、悲しい顔でそう言った。


 ∞6∞

 彼と出会う2年程前から、月に2、3度会っていた男がいて、しばらく海外へ行っていたが帰国していたらしく、わたしは呼ばれて男の滞在先のホテルへ向かい、ドアを開けるとすぐに「オトコはできたのか?」お付き合いしている人がいます、と答えると物凄い力で押し倒され、左胸の横を噛みつけられた。
「お前は俺のモノだろ?わかるだろ?」
 男は言い続けながら、どんな事をしていてもいいから、その男だけには、会わないで欲しい、左ききの彼は、初めて逢った日からずっとそう言っていた。
 どうして、また、会ったんだ、もう一度尋ねられたがわからない、としか言い様が無く、お互い口を閉ざしてから、ベッドの上で長い時間が過ぎ、だけど、僕は約束したよな。何があっても、僕から去っていくことはないって、わたしの髪を撫でながら、その言葉を繰り返し、きつく抱きしめてきた。


 ∞7∞

 午前1時には、チェックアウトするのが決まり事のようになっていたが、朝方までわたしを抱いたまま、彼は眠り続けた。わたしは、ようやく、アザをつけた男と眠る時だけは、二度と目覚めませんようにと、祈りを捧げないことに彼の寝顔を見ながら気付いていた。わたしに、お尻を高く突き上げさせて、革のベルトとバラムチを両手にかかげ、「どっちがいいんだ、どっちでぶたれたいんだ、はっきりしろ」と怒鳴っていたあの男とだけは、眠りにつくまでの時間など存在せず、気がつくと朝がきていて、目が覚めているだけだった。


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