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マリア
2009Dorothy

「本当に可哀相なひと。あなたは罪悪感に耐え切れなくて狂っているんだわ」
「君の云う通りだったとしてそれがどうだって云うんだい?
 君も狂っているのさ。
 苦痛から逃れるために聖母だと思い込んで脳内麻薬で痛みを紛らわせているんだよ」

 僕はそう云いながら女の指を切り落とした。

 一本切り落とすごとに女の笑みは薄れていった。

「どうしたんだい? 慈悲を僕にくれるんだろう?」

 喉の奥で笑いが止まらない。

 ナイフから飛び散った女の血が口の中に入り、僕はうっとりとそれを味わった。

「さあこれで良い」

 女が困惑した顔で僕を見上げた。

 女のただれた口に彼女の指を詰め込んでやる。
 彼女は咳込みながら切り落とされた自分の指を吐き出した。
 救えると信じた悪魔憑きに負けた宣教師の絶望。
『レジスタントは口を割らず、尋問の最中に死亡しました』ってとこだろう。

「ひとつ、良いことを教えてあげよう」

 女の開かない目が微かに広がった。

「僕は君なんかに許してもらわなくても、自分で自分を許しているんだよ」

 云い終わると同時に、僕は女の額にナイフを突き刺した。

 今日の仕事はなかなか面倒だったなと思いながら、僕は酒場の女の尻を思い出していた。


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