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鉄格子
ようするに虹色なのだ。僕たちの過去も、未来も。この目にもはっきりと見える。だが終点には鉄格子が……やはり始点にも……実は虹の左右にも……つまりすでに鉄格子のなかですべては行なわれていたのだ。あるいはこの僕たちを囲む鉄格子の外側は、実は鉄格子の内側で、僕たちはつねにその外に解放されていたのだ。だが内と外の違いなど、このような状況の下ではほとんどないに等しいはずだ。飲み干した牛乳が僕の内部に吸収されたのか、それとも僕の内部に放出されたのか、などは取るに足りないことに違いない。重要なのは、絞り上げられた人の腕の筋肉が、サラブレッドのそれのような黒光りする流線のうごめきに感じられたとき、あるいはその感覚をBMWのボンネットに感じたとき、僕は開かれた狂人の頭を理解する。それが重要だ。昼の人間と夜の人間がくしくも朝日と夕日、つまり赤い時間にのみ手を握り合うのはそういうことだ。今僕のマンションの階段を四人の女が上っていったのは、そうした不思議な現象の証明に他ならない。僕は部屋を飛び出し、彼女たちの部屋に駆け込むだろう。そしてドアを開けた向こうでぽかんと開かれている彼女たちの口に、先月買って熟すまで置いておいた大石産のプラムを一つずつはめこむだろう。すると、彼女たちの顔から疑問の表明が一つずつ外れ、滑稽な無言の能面が残る。その目は文字通り節穴だ。僕は僕の右ポケットから、宝物の、いびつで澄んだガラス玉を差し出す。

「これ、僕の宝物」

 それを拾ったのは母方の祖父の家の裏庭の、竹林のなかだった。年中ジメジメしているその中に、その家の飼い犬の白い毛をしたポチが、幼い僕を引き連れて「ここを掘れ」と本当に言ったのだった。ポチはその後すぐに死んだ。そのガラス玉を掘り出したために。僕は彼女たちの前でとつぜん恐怖のために泣き崩れる。ポチの命の入ったそのガラス玉に、今度は僕の命が吸い込まれようとしている。


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